ソフィアさんは食事をする手を止め、祈る様に手を合わせてうっとりした表情を浮かべた。



「傷だらけのノアさんを手当てして下さったのも、ここへ連れて来て下さったのもラファエル様ですの」

「ラファエル様?」

「まぁっ!ラファエル様をご存知でいらっしゃらないのですか!?」



しまった――。


知ってるふりをすればよかった。


あの時あれ程反省したのに――私の馬鹿――。


もう苦笑いしか出てこない。



「ノアさんはお見掛けしないお顔ですし、きっと天使になられて日が浅いのでしょうね」

「そ、そうなんですよっ!!」



ここぞとばかりに便乗したけどわざとらしかったかな!?


だけどこんな私にニッコリと微笑みソフィアさんは口を開いた。



「ラファエル様がどういうお方なのか、少しお話させて頂きますね。お食事はご遠慮なく召し上がって下さいませ」

「ありがとうございます」



そう言ってくれるものの、せっかく話をしてくれるのに食事をするのは失礼かなと思い、手に持っていたスプーンをお皿にのせた。