美しい足が動く度にドレスから露になったり隠れたりしている。


凄く高いヒールを履いているのに音はしない。


まるで絨毯がリリスの味方をしている様に感じた。


私の目の前に立ったリリスは、さっきよりも激しく私を見下した。



「須藤 りりはもう存在しないわ」

「それって――」

「あら、事細かに知りたいの?お望みならばどう彼女の体を引き裂い――」

「止めてッッ!!」



私はリリスの言葉を遮り耳を塞いだ。


目をきつく瞑り顔を背ける様に俯いた。


それ以上聞かなくてももう十分だった。



「何故人間は己のものさしでしかあらゆるものを計れないのかしらね。所詮は神の創りし欠陥品――理解に苦しむわ」



いくら耳を塞ごうと、リリスの声は容赦なく私の耳の奥へと入ってくる。


突然胸元を引っ張られ、背中に痛みが走った。


痛みに顔を歪めながら目を開くと、冷たく刺すような闇色の瞳と視線がぶつかった。