黒の絨毯に私の頬を伝った水滴が次々と落ちていく。


私のせいでこんなに傷だらけになったんだッッ。


ヴォラク君も竜たちもッッ。


みんなが命懸けで守ってくれたから私はちゃんと天界に行く事ができた。


それなのに――ッッ。



「ヴォラク君ッッごめッッ――」



自分が情けなくて仕方がない。


私は一体何してるの?


こんなところで一体何をッッ!!


握りしめた拳にグッと力が入る。



「う゛わぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!」



悲しみ、怒り、罪悪感――色んな感情が入り交じっていた。


今自分を責めたところで何一つ状況は変わらない。


だけど自分を責める以外どうすればいいのか分からなかった。



「今日はやけに城の中が臭うと思ったら、ネズミが一匹入りこんでいたのね。それもとっておきの溝ネズミが」



どこからか、感じの悪い声が聞こえてきた。


この嫌味な話し方――。



「許可もなく勝手に入ってくるなんてお行儀の悪い子だこと」



声のした方に顔を向けると、胸元が大きくあいた真っ黒なロングドレスを着た女性が腕を組み、嘲笑うかの様に私を見下ろしていた。