ただ静かに私を見詰める竜にもう一度声を掛けた。



「そっちに行ってもいいかな?」



竜は何も答えない。


だけど床に体を預ける様に座り込む姿を見て、いいよって言ってくれているような気がした。


恐る恐る部屋に足を踏み入れる私の姿をジッと見ている竜。


私は竜と目を合わせたままゆっくりと近付いた。


手を伸ばすと頭を差し出してくれた竜の口元にそっと触れた。


その瞬間ブワッと涙が溢れた。



「あの時は本当にありがとう。あなたたちがいなかったら私は無事に約束の場所には行けなかったかもしれない」



冷たくざらつく肌を何度も何度も撫でた。


傷だらけでグタッとしている子に目を向けた。



「この子の傷、ちゃんと治るよね?」



竜は顔を上に向けると、大丈夫だと言わんばかりに小さく炎を噴いた。


私は安心しながらも申し訳ない気持ちで一杯だった。


私のせいだ――。