「あのーすみません、どなたかいらっしゃいませんかぁー?」



遠慮がちに少し開けた扉の隙間から中に声を掛けるが、やっぱり何の反応も返ってこない。



「お、お邪魔しまぁす――」



勝手にごめんなさい。


心の中で謝りつつ、私はお城の中に入った。


お城の中には至る所に火を灯したキャンドルが飾られていて明るかった。


外に比べればだけどね。


電気じゃなくてキャンドルを使ってるなんてお洒落だなぁー。


ん?


そもそも地獄に電気なんてものが存在するのか?


そんなの無さそうだよね。


お洒落でキャンドルを使ってる訳じゃなくて、ただ単に生活に必要なだけなのかもしれない。


一応明かりはあるんだし、そんな事どうでもいっか。


とりあえず誰かいないか探さないと――。


誰かしらルシファーの事知ってるだろうしね。


二階は後回しにして、先ずは一階を調べてみよう。