屋敷なんてもんじゃない。


ここまできたらこれはもうお城だ――。


入り口には立派な大きな門が取り付けられている。


立派な――と言うよりは、立派だったと言った方が正しいかもしれない。


鉄でできている様で、全体的に錆びついているから。


門の意味があるのかと言いたくなるくらい、門は全開になっている。


ご自由にどうぞって事？


今にも怪物が出てきそうな雰囲気だよ――。


私は大きく深呼吸をし、敷地内に足を一歩踏み出した。


そしてまた一歩と足を進めて行く。


緊張して馬鹿みたい。


一度足を踏み入れてしまえば何のその。


案外すたすたと歩けるもので、私はあっという間にお城の入り口へと辿り着いた。


お城に入る扉は流石に閉じていて、ベル等はついていなかったので軽くノックをしてみた。


――――。


誰もいないの？


私は取っ手を掴みその手を引いてみた。


すると扉はギィーっという音をたてながらすんなりと開いてしまった。