もう一人の自分を指差し口を開くが、上手く言葉が出てこない。



『心配せずとも大丈夫ですよ』



大丈夫な訳ないでしょッッ!?


だって――これどうなってんの!?


場を和ませる様に微笑むラグエルさんと違い、ルシファーはひたすら無表情だ。



『貴女の器から魂を抜き取り具現化させたのですよ。ですから倒れている貴女の器は現在仮死状態という事になります』

「か、仮死状態!?それって本当に大丈夫なんですか!?」

『一月半が限界でしょうね。それ以上魂不在の状態が続けばもう器に戻れなくなります。貴女よりも早く仮死状態に入っている泉堂 薫の体の事を思えば、そんなに猶予はありませんがね』



なッッ――何で今頃そんな大事な話しするの!?


薫君と一緒に助かる為には一月で問題を片付けなきゃいけない事ね。


突然ルシファーが倒れている私に向かって指を鳴らした。


すると一瞬にして私の体は姿を消してしまった。



「ちょっとッッ何したの!?」

『泉堂 薫の器を保管している場所にお前の器も移動させた』

「薫君のところに――?」



今は器だけでも一緒にいられるならそれでいい。


魂が戻ったら、その時はお互いの意思で一緒にいたい。



「ありがとう」

『礼を言われる様な事などしていない』



貴方はそう言うけれど、私は貴方にお礼が言いたかった。