無機質な目で見下ろされ、最悪な事態が頭を過った。


目に溜まっていく涙。


私は歯を食い縛り思いっきり両手で頬を打った。


ルシファーもラグエルさんも驚いた顔になる。



「ヴォラク君なら大丈夫です」

『何故そうはっきりと言い切れるのですか?ヴォラクでは到底敵わない程の力をミカエルは持っているのですよ』



ヴォラク君とミカエルさんとの間にどれくらいの力の差があるかなんて私には分からない。


でも約束した。



「ヴォラク君は笑顔でまた直ぐに会えるよって言ってくれました。私はそのヴォラク君の言葉を信じます」



ラグエルさんは瞼を伏せ苦笑いを浮かべた。



『核の影響かもしれませんが、相手が誰であろうと己の感覚と直感を信じ、どんな場面であろうと臆する事なく発言するところはガブリエルにそっくりですね』



昔を懐かしむ様な目で私を見るラグエルさん。


その瞳は温もりを帯びていた。


本当はラグエルさんもガブリエルを助けたいのかもしれない。


でもそうしないのはきっと天界の掟を守る為――。


仲間からこんなにも大切に思われてる貴女が、どうして天界から追放されてしまったの?


いったい何をしたの?