もうすぐ目の前にはマンションというところで竜は動きを止めてしまった。



『まずいな――』

「えっ?」



ヴォラク君がマンションの方を見ながら小さく呟いた。


私は意味が分からず、身を乗り出す様にヴォラク君の視線の先を追った。



「あれって――須藤さん?」



私の声が聞こえたかの様に須藤さんが私たちの方へ顔を向けた。


こんな場面を見られて何て言い訳したらいいの!?



「彼女がいなくなるまでちょっとその辺りぶらつかない?」



須藤さんと目を合わせているヴォラク君の顔は強張っていた。


私の声はヴォラク君の耳には全く届いてなくて、私は彼の肩に触れた。


ハッとして私の顔を見たヴォラク君の顔は、血の気が引いているかの様に真っ青だった。


何――?


どうしちゃったの?