ミカエルさんは涼しげな笑みを見せた。



『たかだか悪魔が僕にそんな口を聞いていいとでも思っているのか。彼女を置いて即刻立ち去れ』



そうだ――。


ミカエルさんは神様の次に力を持ってるって言ってたよね!?



「ヴォラク君ッッ私の事はいいから逃げ――」

『大丈夫だよっ。僕が無事にお家に帰してあげる』



私の言葉を遮ったヴォラク君の声は凄く落ち着いていた。



『今の君に何を言われても怖くもなんともないよぉーっだ。その器だとだいぶ力を制限されるんじゃないの?遠退いていく乃愛の姿を指をくわえて見てるんだねっ』

「うわっっ」



急に竜が方向を変えたため、バランスを崩して落ちそうになってしまった。


そんな私の体を支えてくれたヴォラク君。


見た目は子供だけど、きっと私よりも長い間世の中を見詰めてきたであろうヴォラク君が凄く逞しかった。



『さぁ、帰ろうっ』



その言葉に私は笑顔で返した。