ミカエルさんに見詰められ、彼から視線を反らす事が出来なかった。


違う――彼がそうさせてるんだ。


頬を優しく撫でられ、久しぶりに知らない景色が見えた。


誰かの肩越しに見える何もない寂しい空。


きっとこれはガブリエルの見た景色。



『ここで君を抱けば全てが終わる』

「叫びますよ」

『好きなだけ叫ぶといいよ。結界を張っているから誰も気付かないだろうし、誰も入ってくる事はないだろうからね』



彼の指が頬を伝い、唇を優しく撫でる。



「止めて――っ」



流れ落ちる涙。


涙のあとを拭う様に頬に唇を落とす彼。


体がいうことをきかない。


そんな私に対して彼は優しく綺麗な笑みを見せるだけだった。



「おね、がい――止めっ――」



突然突風に襲われ、私は目をギュッと瞑った。


お腹に何かが触れ、驚いたと同時にフワッとした感覚に襲われた。