アスモデウスさんがわざわざ家まで送り届けてくれ、私は無事に家に帰り着いた。
過ごし慣れた部屋。
すぐそこにあるピンクのクッション。
まだ薫君がそこに居るようだった。
『また迎えにくる』
「またって――」
『満月の夜に』
月が綺麗な弧を描くって満月の事だったんだ。
そんな言い方されたら凡人の私じゃ理解できないよ。
突然アスモデウスさんに頬を撫でられ心臓が飛び跳ねた。
『今日は何も考えずにゆっくり休むといい』
「――――」
『きっとルシファー様が何とかして下さる』
「――はい」
アスモデウスさんはルシファーに対して絶対的な信頼を寄せている。
でも私は違う。
今の私には不安しかない。
飛び立ったアスモデウスさんの後ろ姿を真っ暗な部屋の中から呆然と見詰めていた。
彼の姿が見えなくなると同時に緊張の糸は緩み、崩れる様にベッドに横になった。
その日夢を見る事はなかった。
夢に逃げる事すら許されないのかもしれない。
過ごし慣れた部屋。
すぐそこにあるピンクのクッション。
まだ薫君がそこに居るようだった。
『また迎えにくる』
「またって――」
『満月の夜に』
月が綺麗な弧を描くって満月の事だったんだ。
そんな言い方されたら凡人の私じゃ理解できないよ。
突然アスモデウスさんに頬を撫でられ心臓が飛び跳ねた。
『今日は何も考えずにゆっくり休むといい』
「――――」
『きっとルシファー様が何とかして下さる』
「――はい」
アスモデウスさんはルシファーに対して絶対的な信頼を寄せている。
でも私は違う。
今の私には不安しかない。
飛び立ったアスモデウスさんの後ろ姿を真っ暗な部屋の中から呆然と見詰めていた。
彼の姿が見えなくなると同時に緊張の糸は緩み、崩れる様にベッドに横になった。
その日夢を見る事はなかった。
夢に逃げる事すら許されないのかもしれない。


