ラグエルさんが窓の外へと目を向け、私もつられる様に夜空を見詰めた。



『近々月が綺麗な弧を描くでしょう。その時にまたここへ集まりましょう』

『その時までにお前が作を考えてくるというのか』

『作は考えて参りますが、貴方のお力添えが必須となるでしょう』

『悪魔の力が最も高まる日を選んだという事は、もういい作があるのではないのか』

『相変わらず鋭いお方ですね。何せ私も初めての事ですから少々自信がございません。ですから少しお時間を頂きたいのです』



今この場で私はどうする事も出来ない。


今後も私に出来る事はないかもしれない。


ルシファーが静かに歩み寄ってきた。


歩み寄ってくる彼と目が合う事はなく、目の前で立ち止まった彼は手を伸ばしてきた。


ッッ!?



「何するの!?」



ルシファーは何も答えない。


薫君の身体に触れた手を離す事なく、彼は聞き慣れない言葉をボソッと溢した。