ラグエルさんはルシファーに視線を戻すと、優しい笑みは一変し、先程まで見せていたお堅い表情へと変わった。



『私の心は常に神と共にあります。いつかの貴方の様に――』



どういう意味?



『お前もそのうち気が付くだろう。己がどれ程愚かな事をしているかという事にな』



二人が何の話をしているのか全く分からない。


胸元の契約の刻印はまだくっきりと残っている。


私の中のガブリエルの核はどうなったの?



『神と共にあるのなら、俺を始末するか』

『そうは言っておりません。それに私ごときが貴方に敵うはずがないでしょう。私は出来る範囲で貴方に協力させて頂きます』



えっ!?


天使が悪魔に協力するの!?


素直に驚いているのは私だけで、アスモデウスさんは怪訝そうな顔をしてラグエルさんを睨み付けている。


ルシファーに至っては冷静さを保ち、静かにラグエルさんを見ている。



『ミカエルを裏切るのか』

『今回の件はミカエルの単独行動です。裏切るもなにも、私は協力した覚えなど一切ございません』