『さて、どうするおつもりですか?』



天使はまるでアスモデウスさんがここには存在していないかのように話を切り替えた。


案の定更に怒りを露にするアスモデウスさん。


まさかこんなところで喧嘩なんてしないよね!?


喧嘩なんていう生易しいものじゃないかもしれない。



『お前はどうするつもりだ』



やっと口を開いたルシファーは真剣な眼差しで天使を見据えた。



『板挟みというのは非常に労力を使う立場ですね』

『職務上それがお前の役目だろう。今回は誰の肩を持つつもりだ、ラグエル』



あっ、そうだ――。


確かそんな名前だったよね。



「ガブリエルの知り合いの天使っ!!」



ルシファーにキッと睨まれ、私の身体は自然と縮こまった。


この短時間で身体が覚えてしまったみたいだ。


ルシファーは怖い悪魔だという事を――。


遠慮がちに三人の様子を眺めると、今まで表情を変えなかったラグエルさんが優しく微笑みかけてくれた。


怪しさのない清らかな笑みに見えた。


それは彼が天使の装いをしているからかもしれない。