Purewhite Devil

今日で全てが終わる。


私は元の生活に戻る。


薫君も何事も無かった様にスマートな指先を軽やかに動かしながら、ピアノの音色を聞かせてくれる。


それに、私の中からガブリエルの核がなくなれば、ミカエルも望先輩を解放してくれるはず。



『ガブリエルの魂を我に差し出せ。さすれば泉堂 薫の魂を再びこの地に呼び戻してやろう』



私は彼を見詰めたまま口を開いた。



「最後にもう一つだけ」



ルシファーは綺麗な顔を歪め、あからさまに不機嫌な顔をした。



『いい加減にしろ』

「貴方はどうしてガブリエルの核が欲しいの?」



ルシファーは口角を上げ、ゾクッとする程妖艶な顔で私を見下ろした。


この人よりも怪しく美しい男性はいないんじゃないかと思ってしまう。



『ミカエルの絶望に歪む姿を見る為だ』

「ミカエルの?」

『あいつはガブリエルに惚れている。愛する女の核を奴の目の前で握り潰した時、奴への復讐が果たされる』



どんどん部屋が冷えていく。


そして彼の氷の様に冷たい瞳に怒りの色が広がり、赤黒く変色していく。


ミカエルとの間に何があったの?


そう思ってしまう程、彼の凄まじい怒りが空気を通し私の身体にひしひしと伝わってくる。