Purewhite Devil

ソファーに座っていた筈のルシファーの顔が目の前に現れ、心臓が止まってしまいそうになった。


いつの間に――。


彼の纏う闇に飲み込まれてしまいそう。



「ッッ――!?」



胸ぐらをきつく掴まれ、どんどん首が締まっていく。


冷ややかな目が私を見下ろしている。


苦しさよりも、無表情ながらも怒りを醸し出している彼への恐怖の方が強かった。



『人間風情がこの俺にそんな口を聞いていいとでも思っているのか?口の聞き方に気を付けろ』



突き放す様に掴まれていた胸元を解放され、私はそのままの勢いで薫君の上に倒れこんだ。


――え?


薫君の体に違和感を感じ、私は彼の胸元に頬をくっつけた。



『ようやく気付いたか?その人間は死んでいる』

「う、そ――嘘だよッッ!!だってまだこんなに温かいじゃないッッ」

『まだ死んで間もないからな』

「貴方がッッ殺ったのッッ!?」



ルシファーは形のいい唇を可笑しそうに歪めさせた。


私の中で彼への憎しみが芽生え初める。



『同意のもとだ』

「そんなはずないッッ!!」

『そいつと俺は契約を交わしていた。部外者であるお前がとやかく言う資格などない』



け、い――やく――――?