薫君の顔が近付いてきて、今度こそ本当にキスされると思った。
だけど私は拒む様に顔を俯かせた。
「私っ――今望先輩と付き合ってるからッッだ、から――ッッ」
抱きしめられて、好きだと伝えたくせにキスを拒むなんてきっと変な話だよね。
でも、これが今私が持ち合わせている精一杯の理性だった。
『そうだよな、悪い』
再び薫君の腕の中へすっぽりと収まった私は、そっと耳を彼の胸にくっつけた。
私の心臓と同じくらい早く動いている。
ドキドキしてくれてるって事だよね。
首の後ろに回された手。
安心する。
『なぁ――』
「何?」
『――――』
「薫君?」
『いや――何でもない』
不思議に思いながらも私は深く追及しなかった。
この幸せな時間を壊したくなかったから。
目を瞑り猫の様に頬をすりよせると、薫君はギュッと腕に力を込めた。
匂い、体温、引き締まった体――彼の全てが私を酔わせる。
今だけは貴方への想いだけを胸に宿し、泣いてしまいそうな程の幸せを堪能したい。
だけど私は拒む様に顔を俯かせた。
「私っ――今望先輩と付き合ってるからッッだ、から――ッッ」
抱きしめられて、好きだと伝えたくせにキスを拒むなんてきっと変な話だよね。
でも、これが今私が持ち合わせている精一杯の理性だった。
『そうだよな、悪い』
再び薫君の腕の中へすっぽりと収まった私は、そっと耳を彼の胸にくっつけた。
私の心臓と同じくらい早く動いている。
ドキドキしてくれてるって事だよね。
首の後ろに回された手。
安心する。
『なぁ――』
「何?」
『――――』
「薫君?」
『いや――何でもない』
不思議に思いながらも私は深く追及しなかった。
この幸せな時間を壊したくなかったから。
目を瞑り猫の様に頬をすりよせると、薫君はギュッと腕に力を込めた。
匂い、体温、引き締まった体――彼の全てが私を酔わせる。
今だけは貴方への想いだけを胸に宿し、泣いてしまいそうな程の幸せを堪能したい。


