Purewhite Devil

薫君が立ち止まった病室の壁には“西原 菜々子(ニシハラ ナナコ)”と書かれたプレートがはめられていた。


誰だろう。


友達?


でも何で私を連れてきたの?


さっぱり分かんない。


薫君がドアをノックすると、中から落ち着いた女性の声が返ってきた。


なんか緊張してきた。


病室のベッドに腰掛けて座っていたのは、私たちよりも全然歳上の女性だった。


見た感じ三十代くらいかな?


その女性と目が合い、私は慌てて頭を下げた。



「外は暑かったでしょう?薫、冷蔵庫から何か冷たい飲み物を出して差し上げて」

『あぁ』



薫君は病室に備え付けてある冷蔵庫から、小さなお茶のペットボトルを二本取り出した。



「ありがとう」



私はその内の一本を受け取りお礼を言った。



「どうぞ椅子に掛けて頂戴」

「は、はい。ありがとうございます」



促されるまま私は薫君と一緒に椅子に腰掛けた。


座ったのはいいんだけど、この女性はいったい――誰なんでしょうか――。