何も喋らない薫君の後ろを必死についていった。


学校を抜けるまでとりあえず目立っていた。



『走るぞ』

「えっ!?」



突然薫君に手を握られ、驚きのあまり咄嗟にその手を振りほどこうとしてしまった。


だけど薫君はギュッと握り、離そうとはしなかった。



「ハァッハァッッ――苦しいッッ」



私たちは駆け込む様にバスに乗り込んだ。


苦しいけど冷房が効いてて涼しくて気持ちいいー。


私は薫君に手を引かれたまま車内を歩き、彼に促されるまま一番後ろの窓側に座った。


薫君は隣に座ると私の鞄を返してくれた。



「――――」

『――――』



ちょっと空気が重い様な気がするのは私だけ?


いったい何処に向かってるんだろう――。


そんな事を考えながらも、ちゃんと薫君と向き合うのが怖くて、どんどん景色が変わっていく外をただ眺めていた。