Purewhite Devil

ドアがノックされ、望先輩が応えると一人のメイドさんが遠慮がちに部屋に入ってきた。



「お話し中失礼致します。旦那様からお電話が入っております」

『分かった』



望先輩は立ち上がるとそっと私の頬に触れた。



『直ぐに戻ってくるから』

「あっ、私の事は気にせずゆっくりお話して下さい」

『ありがとう』



望先輩は笑って部屋を出ていった。


忙しくてあまりいないご両親からの電話なのに、私のせいで急かしたくはない。


きっとご両親と電話で話す時間は望先輩にとってとても貴重な時間だろうから。


元々落ち着かない空間だったのに、広い部屋に一人になると更に落ち着かなくなってしまった。


気持ちを落ち着かせようと、私は部屋の中をうろうろと歩き回った。