結局その日は望先輩の家には行かなかった。


いつもと変わりなく、プラプラと買い物をしてお茶をして別れた。


それからもいつも通り望先輩と過ごしているけど、徹先輩に言われた事が頭から離れない。


理由はどうであれ、私たちは付き合ってる。


望先輩とちゃんと向き合って接する様になって、彼の事を好きだという想いも今はある。


ただそれは薫君に対する好きとは違うものだという事は分かってる。


薫君への想いを忘れる為に望先輩を選んだ。


だったらもう覚悟を決めなければいけないのかもしれない。



「ここ――ですか!?」

『そうだよ』



車の中から見上げた先には、立派なお屋敷がドーンッと立っていた。


思ってた以上にお金持ち!?


こんなところに私なんかが入っても大丈夫なんだろうか――。