頭に手の感触がして顔を横に向けると、望先輩が優しく笑いながら頭を撫でてくれていた。



『乃愛ちゃんの心の準備ができるまで待つよ』

「望先輩――」

『あんまり待たせると他の女に取られちまうぞ』



私達の和んだ雰囲気を壊したのは言うまでもなく徹先輩だった。


徹先輩の肩をバシッと叩く優樹菜。


本当にいいコンビだよ。



『僕は乃愛ちゃん以外の女の人に目を向けたりしないよ』

『そんな事ばっか言ってっと乃愛が調子にのっちまうぞ』

「調子になんてのりませんっ!!徹先輩じゃないんですからー」

『だったらちゃんと伊集院の気持ちも考えてやれよな』



徹先輩が珍しくちょっとだけ真剣な顔をしてそんな事を言うものだから、私は何て言葉を返せばいいのか分からなかった。


徹先輩って何だかんだ優しいし、今はこうして真面目な言葉をくれたし、実は軽そうに見えるだけでしっかりしてるのかもしれない。



『男はどんな時もムラムラしてんだからよっ!!』



――前言撤回。


やっぱ軽いかもしれない。