隣で無邪気に笑っている望先輩。


優樹菜と徹先輩と楽しそうに話をしている。


微笑ましい光景の筈なのに、私の心は霧がかかっているかの様にその光景が霞んで見えた。



「乃愛もそう思うでしょ!?」

「えっ――?」

「ちょっとぉー!!聞いてなかったわけ!?」

「あーうん――ごめん」

「食べるのに集中し過ぎだからぁー」



私は慌てて笑って誤魔化した。


全然話聞いてなかった。



「今度はちゃんと聞いてっ」

「はいはい」

「徹がパーマかけるって言うんだけど、絶対今のストレートの方が似合うよね!?」



――えっ?


そんなくだらない質問で私怒られたの!?



「どっちでもいいよ――」

『お前何だよその呆れ顔っ!!』

「望先輩はどんな髪型でも似合いそうですね」

『そうかな?ありがとう』

『シカトかよっ!!』



優樹菜はお腹を抱えながら笑っていた。


そんな優樹菜の笑いが伝染し、私も周りを気にせず声を出して笑った。


こんなに笑ったの久しぶりかもしれない。