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夢と現実の狭間と呼ばれる場所で彼女と話をして数日が過ぎた。


あれ以来朝起きた時に体が汚れている事がなくなった。


打ち身の様な痣も擦り傷も勿論ない。


薫君の事が頭から離れない。


だけど会いに行く勇気はなくて、何も出来ないでいる私。


だって、会って何話すの?


死ぬかもしれないなんて言えるはずもない――。


直接彼女から話を聞いた私だってまだ全てを信用した訳じゃないのに、薫君が信じるはずない。


そもそも彼女が何者かさえ知らない。


話の内容を知りたくて、彼女の正体を聞く事なんてすっかり頭になかった。


結局は話の内容も中途半端で全然意味が分からない。


彼女に一方的に忠告をされただけで理由は何一つ分からない。


ただ、元々望先輩の傍に居ていいものかと悩んでいた私の心は更に悩み、以前よりも迷いが大きくなっていた。