「なお!早くこっちこっち!!」
「もう待ってよりたちゃー・・・」

久し振りにみたこの夢。
昔の私と君の思い出。

けどこの続きは全く覚えていない、たまにこの夢をみるけどこの続きは映し出されてくれない。
あのあと私と君は何をしたんだろう。
そして私達はどうなったのだろう。

私はあの日からの記憶を交通事故で失ってしまった。
あの日までのことは覚えているが”あの時”からのことは覚えていない。

まるで時計があの時間で止まっていたかのように
私はあの時間から今を生きている。


「梨汰、」
君が窓越しに私を呼んでくれた。
私と君の家は隣同士、だから昔から今までずっと一緒。
小学校も中学校も同じらしくて、今日から通い始める高校も一緒の所に来てくれた。

私は君、那緒十が好き、大好き。
なにがあっても近くに居てくれている。
けど君はたぶん私のことを好きなんじゃなくて、私が弱いから、ついていてくれているのだと思う。
自分でも最低と思うのだけど、那緒十は私を今までずっと守ってくれていたようにみえた。

だから、もうそろそろ
離れてしまう気がした。