閉まる戸を見ながら深いため息をつく。
学校から駅までの道のりは15分程度だが酷く疲れた。
少年は無口で必要最低限の事しか口にしない。無口な僕と二人きりになると必然的に沈黙の時間が大半を占める。
普段なら平気だが今日は相手が違う。下品な単語を発して喜ぶような汚らしい男どもとは違う。怖いくらいに美しい。どこか中性的で美しい。この世の常識を超える程に美しい。そんな少年だ。隣で歩いていて自分が情けなくなる。傍を通り過ぎていく人達に僕の醜さを露呈しているみたいでこんな容姿で生まれた僕が情けない。
でも嫌悪感と引き換えに収穫は大きい。
少年の方からこれから登下校を共にしようなどと言われてしまった。嬉しい。いや嬉しい?もっと違う感情?わからない。まぁいい。
ホッと少し顔の筋肉を崩しながら家路を急いだ。