私には、小・中学校時代の記憶があまりない。

内気過ぎて、友達をつくることが出来なかった。

いつも一人でいると、そのうち、クラスのみんなが離れていった。

楽しくない思い出は、いつか記憶から消えていった。

「福崎さん、いつも同じ電車で帰るって言ってたよね?」

はい。確かあんたに聞かれたから答えたんだよ。

「明日、一緒に帰ろうよ。」

「えっ?」

「せっかく同級生に会えたんだよ。色々思い出話しとかしたいし。」

冗談じゃない!

せっかく誰にも会わないように隣の市に通っているのに!

せっかく忘れてるいやな過去なんか、思い出させないで!

「じゃあ、福崎さん、また明日ね。」

彼にい言いたい言葉は山ほどあったのに、私は何も言えなかった。

せっかく新しい生活が始まったのに、そこに居たのは、昔のオドオドした私だった。