「僕も方向一緒だし、荷物、持ちますよ。」

なんと、その男の子もそう言ったもんだから、私達は三人で電車に乗ることになった。

で、なぜか電車の中で、私と彼とは自己紹介とかさせられたりした。

そのおかげで、彼の名前を知ることができた。

彼の名前は藤田裕典〈フジタヒロノリ〉。

ここらで有名な進学校の一年らしい。

住んでいるのは、なんと私と同じ町！

すごいよね。

いやな思い出から逃げるために隣の市の学校に通う私とはエライ違い。

それに、私が言うのもなんだけど、彼、藤田君もかなり真面目そう。

髪型だって、他の男の子みたいに手を加えてない、まっすぐな感じ。

眼鏡も、今ドキありですか？って感じの太い黒ぶち眼鏡。

でもそのおかげで、私は苦手な男子との会話も普通に話すことができた。