こうちゃん。こうちゃん…。
 こうちゃんの手を握り下を向く私。ごめん、ごめんね。
 いっぱいいっぱいの思い。
 こうちゃんはまた優しく笑って頭をポンと手を置く。


「何、抜け出したい?」


 ニヤリと笑うこうちゃん。
 私は馬鹿!そう言うとこうちゃんの頭を叩く。
 じゃれ合っている私とこうちゃんの
 前に店員さんがジュースを持って来た。


「お待たせしました。」


 満面の笑顔を見せる店員さん。
 可愛らしい女の子。
 お団子頭が似合ってて羨ましいな。
 こうちゃんもこういう子が好きなのかな。
 店員さんが持ってきたジュースを
 手にとって話すこうちゃん。
 急にへこむ私を見てこうちゃんは
 店員さんを見ながら私の右手を握りしめてきた。


「…!」


 自分の右手を見る。こうちゃんの力強く手を握る仕草を
 黙って見つめる私。こうちゃん?


「可愛いと思うのはお前だけだから。」


 こうちゃん…。馬鹿。
 優しく微笑む私。周りの男の人が一瞬私を見る。


「こうちゃん…馬鹿。」


 満面の笑顔。こうちゃんが赤面する。
 周りの男の人たちも、頬を染める。
 大好き。こうちゃん。
 こうちゃんは慌てて私を抱きしめる。


「こ…うちゃ」


「だめ!他の奴の前でそんな顔見せないで。馬鹿」


 こうちゃん。大丈夫だよ、私。
 こうちゃんだけって決めたから。
 私とこうちゃんの前で
 無言でジュースを飲む中川先輩。
 桃はシャーペンを持って
 勉強をし始めていた。
 我に返る私とこうちゃん。
 私たち馬鹿だね、お互いを笑った。

 そのあと、みんなで四時間近く勉強をした。
 私は数学をこうちゃんに教わりながら 頑張って勉強を進めた。

 そして、桃と中川先輩がちょくちょくと
 仲良くなっていくのを肌で感じた。