「あ、やべ!優愛間に合わねーから、自転車で行くぞ!」


「え、こうちゃん…」


 こうちゃんは自転車を持ってきて
 こうちゃんの後ろに跨がる。


「しっかり捕まってろ!」


 こうちゃんの右手が私の手を掴んで
 自分のお腹に持っていった。
 私はこうちゃんを抱きしめる。
 ゆっくりと、ペダルをこぎ始めるこうちゃん。
 周りの人達が私たちを見る。やばい、恥ずかしい。
 学校に着くと駐輪場へ向かい私はそこで降りた。
 こうちゃんの荷物を抱き抱えながらこうちゃんを見つめる。

 こうちゃんは自転車に鍵をかけ、
 わりぃと言って私から荷物を取り上げた。
 私の荷物もこうちゃんにとられる。


「いいって、私自分で持つって」


「やだ、俺が持つ。おー、海斗はよ。」


 昇降口に中川先輩がいた。
 いたというよりも、
 上履きを履こうとしていた中川先輩。
 中川先輩…。直視できない。

 ぐいっ 私の左肩にこうちゃんの左手が。
 こうちゃんの胸に頭がぶつかる。


「俺、付き合い始めたから。」


 こ、こうちゃん…!!


「…とんなよ?」


 こうちゃんの目は真剣だった。
 何言ってんの?こうちゃん。
 すると、中川先輩は微笑んだ。


「おめでとう。」


 そう言うと中川先輩は去っていった。


「あぁ…そうか。そうだよね。ははっ」


 私ばかだ。中川先輩は応援してたんだ、最初から。
 なのに変に期待して、ばかだ私。


「優愛…?」


 あぁ、私一番辛い道を選んだんだね。
 今頃気付くなんて。