「いいよ、手伝っても。」


 そう言うと倉庫へ向かう中川先輩。
 背中を部長に押される。いってきな、せっかくのチャンスだよ。
 そう言われ、慌てて倉庫へ行く私。
 こうちゃんは体育館にはいなかった。
 きっとボール洗いに行ったのかな。

 倉庫。湿気の多い臭いニオイの倉庫。
 ボールカゴを移動させる中川先輩。


「あ、私もやります!」


 手を差し伸べようとしたとき、


「いいよ、別に。あんた怪我してんだろ。」


 そう呟く中川先輩に胸きゅんする私。
 何でこの人こんなにクールなの!?
 やばい、胸がきゅんきゅんする。

 中川先輩の後ろ姿を見つめながら
 何もしないで立っている私。
 落ちているボールを拾いボールカゴに入れる中川先輩。
 すると、私の目の前にボールが転がってきた。
 私は思わずボールを拾う。
 その時、中川先輩の手が私の上に重なった。

 ばっ 私と中川先輩は離れる。
 赤面する私。中川先輩を見ると、
 中川先輩まで赤面していた。
 あれ、中川先輩も意識してるのかな?
 そう思っていた時、中川先輩はボールカゴに戻る。
 あぁ、そうだよね。馬鹿みたいに意識してるのは
 私だけだったんだよね。ため息をつくと、
 中川先輩が急に振り向いた。


「柳原って、こ…」


 その時。ガララッ


「…何してんの。」


「…こうちゃん!」


 私の声に後ろに振り向く中川先輩。
 そして、下を向いた。
 こうちゃんは、私と中川先輩を見つめて黙っていた。
 中川先輩とこうちゃんを交互に見る私。
 あれ?二人とも何で黙ってるの?