足の裏に激痛を感じた。
そうだった、窓割ったからガラス下にあったんだった。
こうちゃんが私の変な顔を見て心配して、近寄る。
「おい、お前。まさか…足切ったんじゃ」
「はぁ!?そんなわけないし!」
ムキになる私を見てこうちゃんは
いいから見せろ!大きく怒鳴った。
そして、血が出ている足を見せると
こうちゃんは手当てをし始めた。
無言のこうちゃん。つい、私も我を忘れてこうちゃんを見つめる。
「…お前本当怪我ばっかだな。まぁ俺もだけど」
苦笑いするこうちゃん。
ごめん、小さい声で呟く私。
こうちゃんはそれを聞くと私の頭を撫でながら
「いいよ、別に。おめーは悪くねぇ♪」
満面の笑顔のこうちゃん。こうちゃん…。
その時ふと、思い出した。桃のあの言葉。
【だから、優愛こうちゃんを捕らないで…】
そうだ。私はこうちゃんを
好きになってはいけない。
私の好きな人、それは。中川先輩なんだから。
次の日。今日は日曜日だ。
部活がある私は早起きして行ってきます、そう家を出ると
桃が私の家の前に立っていた。
昨日の事は何事もなかったように笑っておはようを言う桃。
いつもの桃だ。一瞬喜ぶ私。こうじゃなきゃ
嫌だもん、絶対。桃とは喧嘩したくない。
二人で学校へ向かい、何気ない会話やいつものコンビニでお弁当を買った。
学校に着くと、桃は校舎に入っていった。
私は体育館へ向かい、更衣室でジャージに着替える。
体育館には、バスケ部もいた。怪我で次の試合までは
出れないこうちゃんの指導を受けてる部員達。
そして、一人黙々と練習をする中川先輩。
昨日は公園と、川辺だけのデート。少ししょんぼりする私。
中川先輩を見ている私を見て、部長がとんでもない事をした。
「中川くーん!ちょっとこっちに来てくれない?」
部長の大きな声が、体育館に響く。
その声に反応してピタリと体を止める中川先輩。
え!?部長!?驚く私をよそに、中川先輩はバレー部を見た。
いやーーー!こっち見てるー!
勘違いやらなんやらで大暴走中の私。困惑してる。
「優愛ちゃんが一人で、ボール運ぼうとしてるの。一人じゃなんだから、手伝ってくれない?」
無言の中川先輩。
何言い出すのこの人!中川先輩が手伝ってくれるわけ…

