小学生の頃、私には親友がいた。


歌原萌乃と言う名前の彼女。
萌乃はとても優しい性格で、人の悪口なんか言わない人だった。

いつも友達の気持ちを考えて友達優先と言う性格だったから
周りにはたくさんの友達がいた。



萌乃の親友だった私にも
友達がたくさんいた。






ある日、いつものように一緒に帰っていた時のことだった。
忘れ物をしたのに気付いた私は萌乃ともう一人の友達に
「忘れ物したから先いってて」

そういって忘れ物を取りにいった。




そして戻ってきて二人に声をかけようとした。
しかし、二人が小声で話してたので
内緒で聞いていた。

すると…


「琴羽の父親って事故死したじゃん?あれって琴羽の父親も悪いらしいよ…」


え…?
頭が真っ白になった。
ど…ういう…こと?


尚もまだ二人の会話は続いている。



「親が話しててさぁ、ホントは親友とかやめてほしいんだよね(笑)」


…え…?
萌乃……?
萌乃は悪口なんか言わないんだよね?
萌乃は私の友達だよね?
親友だよね?
今までの友情は全部偽物なの?



「え?こ、琴羽?いつからいたの?もしかして……今の………聞いてた?」


私は何も言わず走りだした。