「響子様、お待たせしました。」

私が先輩に追及しようかと口を開きかけた丁度その時、障子戸の向こうで声がした。

「響子、待たせたな。」

障子戸が開くと同時に声がして、背の高い、がっしりとした男のひとが入って来た。

その人は響子先輩に駆け寄ると、先輩を強く抱きしめた。

この人が、響子先輩の言っていた王様なんだ。

「あ・・・。」

思い出した。

階段で先輩を迎えに来たあの人影、この人だった。

「ヒノミヤノオウ、あの、ちょっと・・・。」

響子先輩がまたまた真っ赤な顔をして、私の方を気にしている。

でも、王様は響子先輩に会えてよっぽど嬉しかったようで、なかなか先輩を離そうとはしない。