月光の彼方

イヅミと呼ばれた人は馬の上から手を伸ばすと、私の手首の辺りをつかんだ。

そのせいで、私はその人の顔を近い距離で見ることになった。

信じられない・・・この人も、信じられない位きれいな、整った顔をしている。

「何をしている。」

イヅミさんに睨まれた。

「お前、乗る気あるのか?」

言われて私もイヅミさんの手首の辺りをつかんだ。

すると、私の体はぐいっと引き上げられ、イヅミさんの後ろに座ることができた。

「え?なんで後ろ?

私も響子先輩みたいに、お姫様乗りじゃないの?」

私はてっきり、私も響子先輩同様前側に、姫の様に横向きに乗るのだと思っていたのに・・・

この差はなんなの?