月光の彼方

その男の人は、響子先輩をひょいっと抱き上げると、側に繋いであった馬に乗せ、自分もその馬にまたがった。

「響子先輩!」

「朱音ちゃん!」

響子先輩に駆け寄ろうとした私は、いきなり両腕を掴まれた。

「響子様に近寄るな!」

耳元で低い声で警告された。

「朱音ちゃん! お願い、離してあげて!」

「響子様、この者は? まさか、響子様と共に現れたようでしたが・・・」

「私の後輩です。」

先輩の言葉に、男は顎に手を当て何か考えているようだった。

「イヅミ、お前の馬に乗せてやれ。」

「はい、はい。」

男の言葉に、奥から馬に乗った別の男の人が現れた。