月光の彼方

「先輩!」

私は慌ててビデオカメラを拾おうとしたのだが、信じられないことに、ビデオカメラはそのまま手摺の向こうへと、真っ逆さま。

ーガッシャーン!・・・カラカラカラーン・・・

なんか、バラバラになったような音が聞こえてきた。

「せ、せんぱ~い」

私は自分でも情けない声で先輩を見上げた。

「えっ?」

見上げた場所、今先輩が立っていた場所に先輩は立っていなかった。