月光の彼方

声がした。

ハッと我に返った私は、先輩がふらふらと立ち上がるのに気が付いた。

「あなた・・・誰なの・・・。」

声の主は先輩だった。

先輩はぼうっとした様子で立ち上がると、ゆっくり右手を前に差し出した。

ーガシャーン

手に持っていたビデオカメラが、大きな音をたてて階段に落ちた。