メニューなんて考えてなかったから、内心ほっ。


「それより、このイブニングドレス。実際に着て見せてくれないか?」


その彼の要求は、とても信じられなかった。

まだ、今日の分の100円しか返してない。


勉強もしてない。


そんな状況で、着ろって……


「め、めっそうもごさいません!そ、そんなもったいない……!」


顔の前で両手を振り、さらに首まで横に振り続けてた。


「妃……買っ……だ」


――え?


振ってた頭のせいで、聞き逃しかけたが、確かに今、藤堂さんは――


『妃奈のために買ったんだ』


と呟いた。


私が驚いて、篤志さんの顔を凝視してると、彼はマズったといった風に、目を反らした。


「妃奈がちゃんと、仕事と勉強をするようにするためだ」