いつもいつも、眺めているだけ。


あなたは遠い存在。


愛しくて、愛しくて――


長身の男性を見て、私はドキドキした。


正式には、


男性の持つ、ワンピース。

「ろ、Rose decoraの……ワンピ!!」


薄いパープルの、ノースリーブワンピ。


「30000円だったよ」


――そうなのよ。欲しくて欲しくて仕方ないのに、財布には1000円もなくて……


「妃奈、よだれ出てるよ」


ええ! とミラーを出して見たけど、口元は乾いてる。


「冗談だよ。それくらい、鼻の下伸びてたよ。よほど、欲しいんだな」


またからかわれた。


でも、怒る気はなく、ただワンピを凝視してた。