「いいわよ。姪がお世話になってるし……」


叔母さんは本当にそう思っているらしく、叔父さんみたいに、嬉しそうに笑う。


――いや、世話してる方な気がするんですが……


「だめですよ。こういうことは、ちゃんとしろ、って父に言われていますから」


渋る叔母さんから、値段を聞き、彼はお金を渡した。


「じゃ、桜田さんもありがとう。さ、行こうか」


散々、妃奈って呼び捨てにしたくせに。


藤堂さんの背中を睨みつけながら、先を歩く彼についていく。


部屋に帰り、玄関で靴を脱ぐと、目の前の廊下を見て、買い物に行く前の、気まずい空気を思いだした。


「どうした?妃奈?」


藤堂さんは、足を止めた私を不思議そうに見る。