居酒屋の女将さん、ってだけあって、私は期待した。


「洋風の炒飯」


「よ、洋風?」


「そ、ガーリックも入れて、炒めるの。ガーリックはスタミナつくし、学業に励む学生さんにいいんじゃない?」


スタミナかぁ。


「いいね。作ってみる」


叔母さんに材料を教えてもらい、購入する。

アパートに帰ると、レシピ本を貸してもらった。


「お金、ママに言って、返すからね」


叔父夫婦の部屋の前で、そう告げた。


「あら、いいわよ。気にしないで」


そうは言われても、と困っていたら、不意に横から声をかけられた。


「おばさん?……おばさんが出したんだ?いくらだった?」


藤堂さんは、黒の長財布を持って、こちらに来た。