去年の冬、チョコレート……


「ああ、叔父さんの家で、チョコレートケーキを作ったよ。それはパパにあげたけど」


何か関係が? と口には出さなかったが、そんな意味を込めて、首を傾げた。


篤志はうつむき、ぶるぶる震えてる。


「え?な、泣いて――」


「怒ってるんだっ。君は確かに、日本史ができないはずだ!半年程度前のことも覚えられないんだからな!」


私は慌てて、記憶を探る。


えっと、バケツを倒して叔母さんに怒られて、遅くなって早く帰れ、叔父さんに叱られた。


って、怒られてばかりじゃんっ。


そうだ。開店しちゃったけど、残ったの。


「トリュフも作ったんで、お客さんに配ったんだ……で、それ?」


「そうだ。俺もいたんだ!」


彼はイライラしてる。


「そ、そうだったんですか!そ、そういえば――」


ある記憶に行き当たった。


「烏龍茶の人?確か、思いっきり酒飲みそうなのに、空のグラスと烏龍茶のペットボトルしかなくて……そういや、初めて会ったときも、25歳に間違えたよね」


あはは、と笑うが、篤志は、で? とまだ何か訊こうとする。