答える代わりに、その唇を塞いだ。


「ん、ン……ッ」


苦しげに息を吐いたが、彼女は応えてくれた。


邪魔は入らない。
自分の欲のまま、求め、続けた。


「あ、つしさ……ち、ちょっと……」


今までで一番長かったせいか、妃奈は結局、肩を軽く押してきた。


「……ごめん……」



「平気。ちょっと、苦しかったけど……」


彼女は照れ笑いを浮かべたが、すぐに不安げな顔をした。


そして、また言う。


「帰ろ?」


「妃奈。ありがとう。でも、帰れない。俺はもう、神崎篤志なんだ」


「じ、じゃあ、また雇ってください。お金も服も、何もいらないから……傍にいたいです」


「もう、自殺なんか考えないよ。心配しなくても」


本当は分かってた。

妃奈は、別に自殺未遂なんかしなくても、そう言ってくれただろう。


「篤志さんが好きです」


「分かってる」


「じゃあ……」


「でも、ダメだ」