時間は止まらない。


父さんと、神崎のおじさんの希望も変わらない。


父さんは神崎のおじさんのために、自分の息子が役に立つと信じ、差し出す。


きっと、継母のこともあり、厄介払いの意味もあったはず。


神崎のおじさんは、相変わらず、血縁と養子にこだわる。


俺の人生は決められた。


そして、代償にもらった、ちょっとした自由な時間。


それを好きなように過ごすために、俺も準備をはじめてた。


ある頼みを、これからアパートを借りる家主にするのに、居酒屋に行こうとした日。


とある通りで、見覚えのある顔を見つけ、

神崎のおじさんから、世話人兼運転手として派遣された、木島さんに、車を止めるよう頼んだ。


横付けしてもらい、その道を歩いて戻り、その少女の姿が見える位置まで行く。


彼女はある店のウィンドウを熱心に見つめてた。


「妃奈!恥ずかしいわね!行くわよ!」


「ねぇ、ママ。次の試験頑張るからぁ~」