「は?」と、顔を合わせたと同時に――。


「ん……」


彼女から、唇を押し付けてきた。


――へ?


アルコールとチョコレートが混じったような味がした。


だが、不快感がなく、ただ困惑し、たかが女の子からされたキス。

初めてでもないのに、なぜかわずかに恥ずかしくて……


「はーい、ちゅうしましたぁ」


すっかり酔っ払いと化してる女の子を怒ろうとしたが、


「おやすみなさい……」と呟き、再びしがみつくと、くぅ、と寝息を立てて眠ってしまった。


「なんだ、この子は……」


呆れながも、階段を上がる。


彼女を部屋に送り届けた。


ただ、どこに寝かしたよいか分からず、自分が来てたジャケットをかけ、居間に寝かした。


暖房はつけたが、寒いのか、彼女は俺の方にすり寄ってきたので、まるで添い寝するように抱き寄せた。


近くの机に、彼女のものらしき、ノートが置いてあり、名前が書いてあった。


『桜田妃奈』