ある点に気づき、答えるのをやめた。


「妃奈?」


「あの、今日はメガネかけてないんですね」


篤志さんは、不服げに言った。


「君が、メガネがない方がいい、って言ったんだろう」


「そ、そんなこと言いましたっけ?」


今までの出来事や、やり取りを振り返ってみた。


篤志さんは不機嫌になってる。


「……してない方が、と言った」


ああ! と、私は手を叩いた。


「してない方もいいなぁ、って言ったんでしたっけ?……て、気にしてたんですか?」


問いかけると、彼は背を向けた。


「勉強するんだったな。行くぞ」


篤志さんはさっさと、階段を上っていく。


私はそれを追った。


無言のままの彼の背中を見つめてたら、ちょっぴりおかしくなった。