「私は今から穴に潜るが、次の春にはもう出て来られないかもしれぬ」


蛇はまた
しばらく黙り込み

また話しだしました

「時々考えるが、私が死んだら、誰の『糧(かて)』になるのだろう?こんな蛇穴に入りこむ物好きは居やしないて」


蛇は首をふりました

「いいや……誰に喰われずとも、私のカラダは朽ちて、大地の滋養になるだろう。そうすりゃ、まわりまわって、おまえたちの『糧』にもなるのだろう?」