あれだこれだとうんうん迷っていると
男の子がこちらへ振り返ったから
ばっちり目があってしまった。


「…!」


((え、ど、どどどどうしよう…!))
ジロジロ見てたから
きっと不自然に思ったんだろう、


あたふたしているだけで何も
切り出せない私にしびれを切らして
とうとう彼の方から口を開いた。



『えっと、……どした?』

「え、あ…頭に花びらがついてるから…」

『え』

「あ…、ちょっとじっとしててね」


―ひょいっ―


「ほら、取れたよ」

『…ん、ありがとう』

「あ、うん、どういたしまして…」

《これから第20回入学式を始めます》

取り終えてすぐに校長先生の声がして
入学式が始まったのでお互い前を向いて
会話が途切れた